マーチ・スーパーターボの水温計の交換


マーチR/スーパーターボは水温計の表示が高いという車両が多い。
エンジンルームにギッシリと詰まっているし、ターボとスーパーチャージャーとダブルの過給で、発熱量も多いと思われるのでオーバーヒート気味の可能性もあるが、本当に水温が高いのか、それとも水温計がおかしいのか、なかなか判断がつかない。
精密な水温計を取り付けて実際の水温を測定しようと思っていたが、なかなか測定する機会が無いままで我慢してきた。
所有するスーパーターボの3台中の1台だけが水温表示が異常に高く、通常走行時に指針が水温目盛りの上限まで上がる。
とりあえず、電動ファンを強制的に回転させるスイッチを取り付けてしのいでいたが、長距離を走行してもそれ以上水温が上がる気配は余りないし、オーバーヒートに伴うノッキングや、パワーダウンの兆候も無い。
ラジエーターキャップは新品に交換したし、冷却水がリザーバータンクに吹き返したような形跡も無い。
さらにエンジン停止時に水温計の指針が目盛りの下ではなく、目盛りの中を表示していることに気づき、メーターの異常を疑った。


メーターの交換は、まずチルトステアリングのレバーを緩めてステアリングを一番下った状態にする。
次にメーター・カバーの下側の両側にある2個のスイッチ(リア・ワイパーと熱線のスイッチ)をこじって取り外し、その裏についているコネクターを外す。
次に、メーターカバーの下端の2本のビスを取り外す。メーターカバーを手前斜め上に引っ張るとカバーが外れる。このときメーターカバーの後ろ側でダッシュボードに引っ掛かっている部分に金属製の爪が3個ついているが、それが紛失しないように注意が必要。
あとはメーターを固定しているビス上下4本を取り外してからメーターの裏側に手を入れ、フロントウインドウ越しに目視しながらスピードメーターケーブルの根元の出っ張りを押すとスピードメーターケーブルが外れる。
次にスピードメーターケーブルの横のコネクターを取り外し、あとはメーター基盤に挿入されているコネクター2個を取り外す。いずれもロックピンがあるのでコネクターの横を押しながら引っ張って取り外す。


メーターカバーは上下6ヶ所の爪で固定されているのでドライバーなどで爪を押して取り外す。
文字盤のカバーも同じように取り外す。


水温計はFUEL計と一体化されており、裏側からビス4本で固定されている。
左側が水温計、右側がFUEL計。


走行約6万キロを示したメーターユニットが予備としてストックしてあったので、それから水温計のユニットを取り外して交換したら水温表示は暖気状態でちょうど真中を示した。
バイメタル式だから長年使用するうちにヘタってきて表示が甘くなっていたのではないかと思う。
水温計が高めを表示するというスーパーターボはオーバーヒートかも知れないが、水温計そのものが狂っていることを疑う必要もあるかも知れない。
パーツはメーターアッセンブリー,ウォーターテンパラチャー部品番号24835-28B00で、2002年の価格は9000円である。

なお、温度計の仕様はサービス周報第601号(R仕様車追加の紹介)のE-5ならびにサービス周報第618号(K10型車変更点の紹介)のE-6にはCの位置で約50度、中央で約90度、|の位置で120度、Hの位置で130度であると記載があり、温度計のセンサー(サーマルトランスミッター)の仕様はCの位置で約116オーム、中央で約30オーム、|の位置で約13オーム、Hの位置で約10オームであると書いてあるが、マーチ整備要領書(追補版V)B-143ならびにMA系エンジン整備要領書(改定版)U-143には水温サンサーの抵抗値は約20度のときに約2.5キロオーム、約80度のときに約0.3キロオームと記載がある。
どちらかの記載が間違っている可能性がある。多くの日産車のサーマルトランスミッターの値は後者の値であることから、サービス周報の記載内容が間違っているのかも知れない。
また、温度計のバイメタルの抵抗値は実測で約46オーム(45.4〜46.9)であった。

一般に燃焼にもっとも好ましい水温は70度と言われているが、排気ガス対策の面などから通常のエンジンの正常な水温の範囲は70度から95度(80度から90度とする説もある)である。
水温が105度を超えなければ良いという説もある。油温の上限は120度前後であるから水温の上限は105度というのも理解できる。
マーチ・スーパーターボの水温をピボットのSG-WTSGiを装着して測定してみたところ、通常の走行で85度から90度を示し、渋滞や上り坂で最高で94度を示した。
94度を示した状態では純正の水温計は|の位置まで約5ミリのところまで指針が来ていた。
ところで、冷却用の電動ファンだが、スーパーターボのMT車の電動ファンと、マーチRとスーパーターボのAT車用の電動ファンは違うものと判明した。
マーチRとスーパーターボのAT車には低速(110W)と高速(160W)の2段階に切り替えられる電動ファンがついているが、スーパーターボのMT車には110Wの一定の速度の電動ファンしか装着されていない。
マーチRとスーパーターボのAT車用の低速・高速切り替え式の160Wの電動ファンは部品番号21487-22B00で2002年の価格で16600円である。
スーパーターボのMT車の110Wの電動ファンは部品番号21487-17B17で2002年の価格は14700円である。
ラジエーターの下部にサーモスイッチがついているが、電動ファンに対応してマーチRとスーパーターボのAT車は3端子型のサーモスイッチ(21595-20B00 5190円)で、MT仕様のスーパーターボには2端子型のサーモスイッチ(21595-21B00または21595-29R10 5190円)が装着されている。
3端子型のサーモスイッチのついたマーチRとスーパーターボのAT車用では、約90度でファンがLOW(110W)、約100度を超えるとHIGH(160W)で回転するようになっている。MT仕様のスーパーターボは2端子型のサーモスイッチで、約90度になると110Wのファンが回転するようになっている。
サーモスイッチが正常に動作していればいずれにしても約90度で冷却ファンが作動するので水温計が狂っているかどうかはこれで見当をつけることも可能である。ただし、温度計のセンサー(サーマルトランスミッター)はエンジンから流れ出る熱い冷却水の温度を測定しており、サーモスイッチはラジエーターで冷却された後の水温を測定しているので、電動ファンが回転し始めたときには、エンジンから流れ出る水の温度は90度よりはるかに高い温度であり、水温計は90度よりはるかに高い温度(約100度くらい)を示していなければならない。
冷却性能を上げたい場合にはマーチRかスーパーターボのAT車用の冷却ファンを入手すると良いだろう。

なお、別のページにも記載したが、マーチには速度警告ブザーがついているが、速度警告ブザーがうっとうしい場合はメーターを外す機会にブザーも取り外すと良い。
メーターパネルの裏側から見て左側にある円形のブザーを固定しているビス2本と緑色と黄色の端子を固定しているビスを外して端子を取り外せば良い。




●コメントなどはこちらへメールでお寄せ下さい。
スパムメール防止のために画像でメールアドレスを記載してありますので、半角で入力しなおしてくださるようお願いします。

トップページへ戻る